Nikon Imaging
Japan
At the heart of the image.

2017年5月の星空

この春の主役、木星の見ごろが続いています。宵のころに南の空で明るく優しく輝く様子は、街中からもはっきりと見えます。平日は肉眼や双眼鏡で気軽に眺めて楽しみ、休日は科学館などで天体望遠鏡を使ってしっかりと観察してみましょう。
木星のあたりには「おとめ座」や「春の大三角」が大きく広がり、北の空には「北斗七星」が高く昇っています。木星観察の合間には星座巡りも楽しみです。

星空写真

西武園ゆうえんち(埼玉県所沢市)にて
ケンタウルス座を意図して撮影したのは初めてだ。みなみじゅうじ座が、ぎりぎり見えないことがわかる。星々が夜のゆうえんちで遊んでいるように見える。

2017年2月13日 03時45分
ニコン D750+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(24mm、ISO 500、露出8秒×100枚を比較明合成、f/2.8、トリミング)
撮影者:鈴木 祐二郎

5月の星空

南の空

南の空

2017年5月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(11日)、上弦(3日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2017年5月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

3日(水) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
4日(木) 夕方~翌5日未明、月とレグルスが大接近
5日(金) 立夏(こよみの上で夏の始まり)
6日(土) みずがめ座η流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
7日(日) 夕方~翌8日未明、月と木星が接近(「今月の星さがし」で解説)
8日(月) 夕方~宵、月と木星、スピカが並ぶ(前日とは並び方や間隔が変わります)
11日(木) 満月。次の満月は6月9日です
13日(土) 深夜~翌14日明け方、月と土星が接近(「今月の星さがし」で解説)
19日(金) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
23日(火) 未明~明け方、細い月と金星が接近(「今月の星さがし」で解説)
24日(水) 明け方、細い月と水星が接近
26日(金) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星がよく見えます)
31日(水) 夕方~深夜、月とレグルスが接近

5月の惑星

水星

20日ごろから、明け方の東の低空に見えます。日の出30分前(東京で朝4時ごろ)の高度は約5度前後(腕を伸ばして指2~3本分の幅)とかなり低いので、地平線近くまで見晴らしが良いところで探してみましょう。スマートフォンのアプリなどで位置を確かめ、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

24日の明け方に細い月と接近します。細い月の左に輝く水星を探してみましょう。

金星

明け方の東の低空に見えます。日の出1時間前(東京で朝3時30分ごろ)の高度は10度ほどと低いですが、マイナス4.5等級ととても明るく目立つので、建物などに隠されなければ見つけられるでしょう。

23日の未明から明け方に細い月と接近します。平日の早朝ですが、早起きしたらぜひ眺めてみてください。

火星

「おうし座」を動いています。夕方の西の低空に見え、夜8時30分ごろ沈みます。明るさは約1.6等級です。

上旬ごろに「おうし座」の1等星アルデバランと並び、赤い星の共演が見られますが、低空のためあまり目立たないかもしれません。

来月以降は太陽と近づくため見えなくなります。次は9月上旬ごろから、明け方の東の低空に見えるようになります。

木星

「おとめ座」にあり、1等星スピカとやや離れて並んでいます。夜9時ごろに真南の空に見え、未明の3時ごろに沈みます。明るさは約マイナス2.3等級です。

宵の見やすい時間帯に南の空の高いところに見えるので観察の好機です。双眼鏡を使うと木星の周りにあるガリレオ衛星が見え、天体望遠鏡では衛星だけでなく本体の縞模様もわかります。科学館などの天体観察会に参加してみるのもおすすめです。

7日の夕方から8日の未明に月と接近します。この光景は肉眼でもよく見え楽しめるので、スピカを含めた3天体の集合を眺めてみましょう。

土星

「へびつかい座」と「いて座」の境界付近にあります。夜9時ごろに昇ってきて、深夜2時ごろに南の空に見えます。明るさは約0.1等級です。

13日の深夜から14日の明け方に満月過ぎの明るい月と接近します。月と明るい惑星の接近は街中から肉眼でも見やすいので、気軽に空を見上げてみましょう。

天体望遠鏡を使うと太い(幅の広い)環が見えます。宵のころにはまだ土星は低く、本格的な観察には向いていませんが、チャンスがあれば環のある美しい姿を眺めてみてください。

今月の星さがし

木星が見ごろです。肉眼、双眼鏡、天体望遠鏡それぞれで観察してみましょう。ゴールデンウイークの終わりごろには流星群もあります。

木星が見ごろ

宵の頃、南の空の高いところにひときわ明るい星が輝いています。地球の直径の11倍の大きさを持つ太陽系最大の惑星、木星です。木星は先月上旬、地球から見て太陽と反対の位置に来る「衝(しょう)」を迎えました。太陽の反対側ということは一晩中見え、地球からの距離が一番近くなって明るく大きく見えることになるので、観察の絶好機です。

今月も木星の見ごろが続いています。明るさや大きさは先月とほぼ同じで、宵のころに高くなるという点では先月よりも見やすくなっています。ぜひ観察してみましょう。

木星の観察は、肉眼、双眼鏡、天体望遠鏡と方法によって様々な楽しみ方ができます。まず肉眼では、近くに並んで見えている「おとめ座」の1等星スピカとの色や明るさの違いに注目してみてください。また、2つの星の位置関係をよく見ていると、木星がスピカから少しずつ遠ざかっている(つまり、木星が星々の間を動いている)ことに気付くかもしれません。

さらに、7日の夕方から8日の未明にかけては月との接近も見られます。眺めるだけでなく、地上風景を入れた写真撮影も面白いでしょう。

5月7日 21時(場所は東京)の南の空の様子。囲み内はクローズアップ(直径7度、標準的な双眼鏡の視野)。線は10度(腕を伸ばしてこぶし約1個分)間隔。広角図では月は大きく描いている

次は双眼鏡での楽しみ方です。木星の周りには60個以上の衛星が見つかっており、このうちとくに大きい4つの「ガリレオ衛星」は双眼鏡で見ることができます。ガリレオ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)は動きが速く、一番内側のイオは2日弱で、一番外側のカリストは17日ほどで木星を一周するので、数時間から数日の間にも並び方が変わって見えます。観察するたびごとに、お互いの位置関係や木星からの離れ具合が変化しているのがわかるでしょう。ときどき、衛星が木星の裏に回ったり木星の影に入ったりして、3つ以下しか見えなくなることもあります(衛星が木星のすぐそばにあるときには、木星が明るいため衛星が見づらいこともあります)。

ガリレオ衛星の動き。真ん中の木星の周りを4つのガリレオ衛星が回っている。「イ」=イオ、「エ」=エウロパ、「ガ」=ガニメデ、「ト」=カリスト

天体望遠鏡では、ガリレオ衛星のほかに木星の表面の縞模様が見えます。そのうち2本ほどは比較的わかりやすく、気流(上空の風など)が安定していればもっと多く見えるかもしれません。科学館などでは大きい天体望遠鏡で木星を見せてもらえるので、観察会に参加してみてはいかがでしょうか。木星はわずか10時間ほどで自転しており、タイミングが良ければ「大赤斑(だいせきはん)」という大きな目玉のような模様が見えることもあります。

肉眼を含め観察方法ごとに様々な楽しみ方ができること、いろいろな動きがあり変化が面白いこと、そして何より見つけやすく見やすいことから、木星はオススメの観察対象です。ぜひじっくりと木星を観察してみてください。

13日深夜から14日明け方に月と土星が接近/23日未明から明け方に細い月と金星が接近

7日から8日にかけては月と木星の接近が見られますが、別の日には月と土星、月と金星の接近も起こります。時間帯が深夜や明け方になってしまいますが、肉眼で楽しめる現象ですので、日付をチェックしておきましょう。

まず、月と土星の接近が見られるのは13日の深夜から14日の明け方です。土曜の深夜から日曜にかけての現象なので、少しは夜更かししやすいかもしれませんね。月と土星の右のほうには「さそり座」の赤い1等星アンタレスも見えます。

なお、7~8日は満月前なので木星と並んだ月は左が欠けて見え、13~14日は満月後なので土星と並んだ月は右が欠けて見えます。こうした変化も意識してみてください。

5月14日 未明1時(場所は東京)の南の空の様子。囲み内はクローズアップ(直径7度、標準的な双眼鏡の視野)。線は10度(腕を伸ばしてこぶし約1個分)間隔。広角図では月は大きく描いている

5月23日 明け方3時30分(場所は東京)の東の空の様子。注記は左の図と同じ

土星との接近以降、月はさらにどんどん細くなっていきます。そして23日の未明から明け方に、東の低空で金星と接近します。明けの明星の輝きや、地球照(地球で反射した太陽の光が月を照らし、月の暗い部分がうっすら光って見える現象)が見ものです。夜明けとともに空の色が徐々に変化していく様子と合わせて、とても美しい光景を見ることができるでしょう。平日ではありますが、ぜひ早起きして眺めてみてはいかがでしょうか。

なお、翌24日の明け方には、さらに細くなった月が水星の右に接近します。かなり低空の現象となりますが、意欲のある方は東の方向の見晴らしが良いところで細い月と水星も探してみてください。

6日未明から明け方、みずがめ座η流星群

「みずがめ座η流星群」は、毎年ゴールデンウィークの終わりごろに活動が活発になる流星群です。8月の「ペルセウス座流星群」や12月の「ふたご座流星群」ほど多くの流れ星が飛ぶわけではありませんが、毎年確実に活動が見られる流星群です。今年は6日の明け方が一番の見ごろと予想されています。月明かりの影響も小さいので、比較的良い条件で観察できそうです。

5月6日 明け方3時(場所は東京)の空全体の様子。流れ星は、放射点の位置する東の空だけではなく、あちこちに飛ぶ

「η(エータ、イータ)」は星の符号で、「みずがめ座」のη星付近にある放射点(流れ星が飛ぶ中心の方向)を中心として四方八方に流れ星が飛ぶように見えることからこのような流星群名が付けられています。6日の明け方ごろ放射点は東の低空にありますが、流れ星は空のどの方向にも飛びますので、東だけでなく空を広く見渡すようにしましょう。地上の明かりが少ない方向や視界が開けている方向を見るようにすると、流れ星を目にできる可能性が高くなります。

町明かりが少なく見晴らしが良いところであれば1時間あたり15個ほど、郊外で5個ほどは見えそうです。明け方ですので無理をせず、10分だけでも流れ星を待ってみてはいかがでしょうか。たった1つでも、明るい流れ星が見えれば嬉しいものです。

今月の星座

ケンタウルス座、みなみじゅうじ座、おおかみ座

5月中旬の夜9時ごろ、南の空には「春の大三角」が大きく広がり、スピカと木星が並んで見えています。そのずっと下のほう、地平線近くには、「ケンタウルス座」や「おおかみ座」という少し聞き慣れない星座があります。「ケンタウルス座」は半人半馬のケンタウルスを描いた星座で、その槍に突かれているのが「おおかみ座」です。

そして、ケンタウルスの後ろ足あたりには、「南十字星」として知られている「みなみじゅうじ座」があります。

「ケンタウルス座」「みなみじゅうじ座」「おおかみ座」。名前が書いてある星は2等級以上の明るい星の一部(カッコ付は他の星座の星)(星団の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

本州あたりでは地平線に近く見えづらい(ケンタウルスの下半分や南十字星はまったく見えない)星座ですが、シンガポールあたりでは多少見やすくなり、オーストラリアあたりまで南に行けばほぼ一年中見ることができるようになります。ゴールデンウィークなどに南へ旅行することがあれば、「おおかみ座」を含めてぜひ見ておきましょう(夜間の安全にはご注意ください)。沖縄や小笠原では同じくゴールデンウィークの頃、真夜中に南の地平線ギリギリのところにケンタウルスの足先や南十字星が上ります。

「ケンタウルス座」や南十字星を見つける際に目印になるのは、ケンタウルスの前足に並んでいる2つの1等星、リギルケンタウルスとハダルです。明るいほうのリギルケンタウルスからハダルへと線を結んで延ばした先に、南十字星があります。実は南十字星のアクルックス(図で十字の下の星)とミモザ(左の星)も1等星なので、このあたりには4つも1等星が集まっていることになり、たいへん豪華な領域となっています(星座の中に2つも1等星があるのは、他にはオリオン座だけです)。

リギルケンタウルス

「ケンタウルス座」のリギルケンタウルスは、様々な点でとても興味深い星です。

まず、リギルケンタウルスを天体望遠鏡で観察すると、2つの1等星(0等級と1.4等級)に分離して見えます。つまり実は、「ケンタウルス座」にはハダルを含めて1等星が3つもあることになります。

次に、リギルケンタウルスは太陽系から最も近い恒星系です。最も近いといっても光の速さで4.4年ほどかかります(時速1000kmの飛行機なら約500万年かかります)。先にリギルケンタウルスには2つの1等星があると紹介しましたが、実際にはもう1つ暗い星も含まれています。この星(とくに「プロキシマケンタウリ」という名前が付いています)までの距離は4.2光年で、太陽系に最も近い恒星です。

さらに、プロキシマケンタウリには、その周りを回る惑星が見つかっています。つまり、この天体は太陽系の惑星以外で一番近くにある惑星ということになります。

ω星団

「ケンタウルス座」にある別の見どころ天体として、「ω(オメガ)星団」(カタログ番号ではNGC 5139)を紹介しましょう。数百万個もの恒星がボール状に集まった球状星団というタイプの天体で、空の条件が良ければ肉眼でも見えるほどの明るさと大きさを誇ります。

日本では高く昇らないため、その見事な姿を観察するのは難しいのですが、南半球に行くことがあれば絶対に見逃せません。機会があれば、星が密集した様子を天体望遠鏡でじっくりと堪能したい天体です。

コールサック

「みなみじゅうじ座」にある見どころも一つご案内しましょう。星図を見ると、アクルックスとミモザのすぐ左が不自然に暗くなっているのがわかります。このあたりには天の川が流れているのですが、この部分だけぽっかりと穴が開いたように見えます。

「コールサック(石炭袋)」という愛称が付けられたこの部分の正体は、ガスや塵が濃く集まった暗黒星雲というタイプの天体です。背景の星の光を遮ってしまうので、まるで何もないように見えるというわけです。

天の川が見えるくらい空の条件が良ければ、肉眼でハッキリと存在がわかります。南へ旅行の際には、ぜひ忘れずに眺めてみてください。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は5月中旬の深夜1時ごろの星空です。6月中旬の23時ごろ、7月中旬の21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります/惑星は少し動きます)。

2017年5月中旬 深夜1時ごろの星空

「春の大曲線」や「春の大三角」が西の空へと移ってきました。西を正面にして空を見上げる(図を時計回りに90度回転させて見ることになります)と、春の大曲線が北西から北東へと大きなアーチを描きます。そのアーチの終端付近には、スピカと並び木星が美しく輝いています。

南の空では、「さそり座」の1等星アンタレスの赤さと、土星のクリーム色の輝きが目をひきます。また、東の空の高いところには「夏の大三角」が昇っています。木星から土星へ、春の大曲線から夏の大三角へと、主役がバトンタッチしているかのようです。また、今月ご紹介した「おおかみ座」がアンタレスの右下のほうに見えています。

来月には日本の広い範囲で梅雨入りし、星空を見られる機会が減ってしまいそうです。宵の星座も深夜の星々も、今月のうちにしっかり眺めて楽しみましょう。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

星空観察のワンポイントアドバイス